従業員が亡くなったら会社は何をする?死亡退職の手続き完全ガイド

総務・人事の実務

※この記事はプロモーションを含みます

在職中の従業員が亡くなる。総務をしていると、いつか直面するかもしれない、いちばん言葉が出ない出来事です。

ご遺族の悲しみに寄り添いたい気持ちと、「会社として何の手続きが必要なんだっけ」という焦りが、同時に押し寄せてきます。しかも死亡退職の手続きは、通常の退職とは違うところがいくつもあって、迷いやすいんです。

ワーママichi
ワーママichi

手続きの抜けがあるとご遺族にもう一度ご足労をおかけしてしまうので、ここはミスできない…と気を張りました。

この記事では、従業員が亡くなったときに会社・総務がやることを、初動から社会保険・給与・退職金まで順番に整理しました。中退共(中小企業退職金共済)を使っている会社のケースも、実体験ベースで解説します。

この記事はこんな人向けです♪
  • 在職中の従業員が亡くなり、何から手をつければいいか分からない総務担当の方
  • 死亡退職と通常の退職で、手続きがどう違うのか知りたい方
  • 社会保険の資格喪失や埋葬料、最終給与の扱いを確認したい方
  • 中退共を導入していて、死亡退職金がどうなるか知りたい方

従業員が亡くなったとき会社がやることの全体像

まずは全体像から。やることは大きく「初動対応」「退職・社会保険の手続き」「給与・退職金の精算」「遺族への案内」の4つに分かれます。期限がある手続きから動くのがコツです。

タイミング主にやること
すぐ(初動)事実確認・遺族の窓口確認・社内周知・お悔やみの手配
5日以内健康保険・厚生年金の資格喪失届を提出
10日以内雇用保険の資格喪失届を提出
落ち着いてから最終給与の精算・年末調整・退職金(中退共)の案内・源泉徴収票の交付
あわせて案内埋葬料・遺族年金など、遺族が行う手続きの案内

期限のある社会保険から先に動き、給与・退職金はそのあとで落ち着いて進める。この順番を頭に入れておくと、慌てずに済みます。

【初動】訃報の確認と社内周知で気をつけること

最初の対応は、事務手続きよりも「ご遺族への配慮」が中心になります。

  • まずは落ち着いて、亡くなった日・ご遺族の連絡窓口(誰に連絡すればよいか)を確認する
  • 通夜・葬儀の日程や形式(家族葬かどうか)、香典・弔電を辞退されていないかを確認する
  • 社内へどこまで・どう伝えるかを上長と相談してから周知する

ご遺族はとても気が動転されています。手続きの書類の話を一度に持ち出さず、「落ち着かれてからで構いません」と伝える配慮が大切です。

ワーママichi
ワーママichi

私が初めて直面したときは、何をどの順番で進めればいいのか頭が真っ白になりました。。でも「手続きより、まずはご遺族の気持ち」と心に決めてから、少しずつ落ち着いて動けるようになった気がします。

社内への周知メールの文例は、こちらの記事にコピペで使える形でまとめています。

訃報の社内通知メール文例4選【コピペOK】総務担当者の判断ポイントも解説
訃報の社内通知に使えるメール文例を4パターン紹介。家族葬・香典辞退・役員など状況別に対応。周知範囲の決め方・送るタイミング・忌み言葉もわかります。中小企業の総務担当者向け。

なお、亡くなったのが従業員本人ではなく、従業員のご家族だった場合(忌引きの対応など)は、流れが変わります。こちらの記事を参考にしてください。

従業員から訃報の連絡が来たら?会社・総務の対応5ステップ完全ガイド
会社に従業員の訃報連絡が来たとき、総務は何をすべき?初動確認・社内周知のメール文例・香典や弔電の手配・忌引の処理まで、対応の流れを5ステップで解説。中小企業の総務担当者向けの実践ガイドです。

死亡退職日と通常の退職との違い

死亡退職では、亡くなった日が退職日になります(一般的には死亡日をもって退職とする会社が多いです)。

通常の退職と違うのは、次のような点です。

  • 本人からの退職届は当然ながら不要。手続きはご遺族とやり取りして進める
  • 最終給与や退職金は、本人ではなく相続人(ご遺族)にお渡しする
  • 源泉徴収や年末調整の扱いが、通常退職とは一部変わる(後述します)

通常の退職手続きの全体像は、こちらの記事にまとめています。死亡退職でも共通する部分は多いので、あわせて確認すると流れがつかみやすいです。

中小企業の退職手続きチェックリスト!総務が押さえるべき全手順まとめ
退職者が出るたびに「何をすればいい?」と焦る中小企業の総務担当必見。社会保険・離職票・貸与品返却まで、会社側がやるべき退職手続きを漏れなくまとめました。

社会保険の資格喪失手続きは5日以内に

期限がいちばん短いのが、健康保険・厚生年金保険の資格喪失です。

  • 資格喪失日は「死亡日の翌日
  • 事業主が「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を、5日以内に年金事務所(または健保組合)へ提出する
  • 回収・返却するのは「資格確認書(橙色のカード)」。マイナ保険証を使っている方は返却する物理カードはなく、資格喪失の届出で資格情報が更新される

なお、従来の健康保険証(青色のカード)は2024年12月に新規発行が止まり、2025年12月2日で完全に廃止されました。いまは資格確認書を回収するのが中心で、マイナンバーカードをマイナ保険証として使っている方は、返すカードがありません。

5日以内という期限は意外と短いので、初動の落ち着いたタイミングで早めに着手しておくと安心です。

※5日を過ぎても罰則はなく、届出はちゃんと受理されます。ただし、ご遺族の遺族年金や埋葬料などの手続きが、この資格喪失の処理を待って進むことがあります。気づいたらできるだけ早く提出しましょう。

ワーママichi
ワーママichi

正直、悲しい空気のなかで「5日以内」と言われると、すごく焦ります。。でも遅れても受理はされるので、慌ててミスするより、落ち着いて正確に出すことを優先していいと思っています。

健康保険の「埋葬料」はご遺族が受け取れる

健康保険からは、埋葬料が支給されます。総務から案内してあげると、ご遺族はとても助かります。

  • 亡くなった被保険者に生計を維持されていたご遺族に、埋葬料(一律5万円)が支給される
  • そうしたご遺族がいない場合は、実際に埋葬を行った人に、実費(上限5万円)が「埋葬費」として支給される
  • 請求の時効は2年。会社が申請書を準備して案内・代行するとスムーズ

金額や要件は健康保険の種類(協会けんぽ・健保組合)によって細部が異なる場合があるので、加入先に確認しておくと確実です。

雇用保険の資格喪失手続き

雇用保険も資格喪失の届出が必要です。

  • 「雇用保険被保険者資格喪失届」を、資格喪失日の翌日から10日以内にハローワークへ提出する(喪失原因は「死亡」)
  • 死亡退職では、本人が求職活動をできないため、基本手当(失業給付)の対象にはなりません。そのため離職票は原則不要なケースが多いです

未支給の給付などで離職票が必要になる場合もあるため、判断に迷ったらハローワークに確認しましょう。

最終給与と未払賃金は「相続財産」になる

亡くなった時点で支払っていない給与(最終月の給与など)は、本人ではなく相続人(ご遺族)にお支払いします。

ここで注意したいのが税金の扱いです。

  • 死亡後に支払う給与・賞与は、相続財産として扱われ、相続税の対象になることがある
  • そのため、死亡後に支払うものについては所得税の源泉徴収を行わないケースがある(支給日が死亡前か後かで扱いが変わる)
  • 年の途中で亡くなった従業員は、死亡の時までの給与で年末調整を行い、源泉徴収票を作成してご遺族に交付する

源泉徴収や相続税の線引きは細かく、ケースで判断が変わります。実際の処理は税理士や税務署に確認しながら進めるのが安全です。

人事さん
人事さん

給与なのに源泉しない…って、通常退職の感覚だと間違えそうですね。税務署に一度確認するのが安心。

死亡退職金と弔慰金の扱い(中退共のケースも解説)

死亡退職金は、会社の制度によって「誰が・どう払うか」が変わります。

自社の規程で退職金を支給する会社の場合は、規程に沿って会社が計算し、相続人にお渡しします。死亡退職金は税務上「みなし相続財産」として相続税の対象になり、500万円×法定相続人の数までは非課税の枠があります。

中退共を導入している会社の場合

中退共(中小企業退職金共済)を使っている会社は、ここが大きく変わります。

  • 中退共に加入している分の退職金は、会社が払うのではなく、勤労者退職金共済機構(中退共)からご遺族へ直接支払われる(制度上、事業主が受け取ることはできません)
  • 受け取るご遺族の順位は、中退共の制度(法律)で決まっている(配偶者が最優先など。民法の相続順位とは別のルール)
  • 会社(総務)の役割は、退職金共済手帳など必要書類をご遺族に渡し、機構へ請求できるよう案内すること

ここで見落としやすいのが、会社の退職金規程で決めた金額と、中退共から支払われる額に差がある場合です。規程で算出した金額のほうが多ければ、その不足する差額は会社からご遺族へ支払います

逆に、中退共からの支給額が規程の金額を上回ったときは、その超過分もご遺族のものになります。会社が受け取ったり、返金させたりすることはできない決まりなので、ここは注意が必要です。

つまり中退共の会社の総務は、「①中退共の請求をご遺族がスムーズにできるようサポートする」「②規程額に足りない差額があれば会社から支払う」の2つを担うことになります。

ワーママichi
ワーママichi

うちも中退共ですが、退職金は会社の規程で金額を決めていて、中退共から支払われる分で足りない差額は会社から支払う形です。中退共の請求書類をそろえてご遺族にお渡しし、差額は社内で手続きする…という役割分担でした。

受給できるご遺族の順位や請求方法は、必ず中退共(機構)の案内に沿って進めてください。

会社から弔慰金を出す場合は、税金の非課税枠の目安も知っておくと安心です。

  • 業務上の死亡 → 普通給与のおおむね3年分まで非課税
  • 業務外の死亡 → 普通給与のおおむね半年分まで非課税

弔慰金とお返しの考え方については、こちらの記事でくわしく解説しています。

会社からの弔慰金にお返しはどうする?総務担当者がお返し不要と伝える理由!
会社から弔慰金をもらったとき、お返しは必要でしょうか?総務担当として毎回「基本は不要」とお伝えしています。その理由と気になる相場・正しいマナーをわかりやすく解説します。

遺族に案内してあげたい手続き

会社の手続きではありませんが、ご遺族が行う手続きを総務から案内してあげると、とても親切です。

  • 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)→ 年金事務所へ請求
  • 未支給年金(本人が受け取っていない年金がある場合)→ 年金事務所へ
  • 健康保険の埋葬料 → 加入先の健康保険へ(前述)
  • 高額療養費 → 亡くなる前の医療費が高額だった場合、加入先の健康保険へ

これらは期限や必要書類がそれぞれ違います。「年金事務所と役所で相談してみてください」と一言添えて、窓口を案内してあげるだけでも、ご遺族の負担はぐっと軽くなります。

ワーママichi
ワーママichi

正直、ここまで総務がやる義務はないのかもしれません。でも、何から手をつけていいか分からないご遺族にとって、窓口を一つ教えてもらえるだけで本当に心強いはず。だから私は、できる範囲で案内するようにしています。

会社としてのお悔やみ(香典・弔電・供花)

事務手続きと並行して、会社としてのお悔やみも準備します。

  • 香典・弔電・供花を出すか、金額はいくらかを社内の慶弔規程や前例で確認する
  • 家族葬で「辞退」とある場合は、その意向を必ず尊重する
  • 通夜・葬儀に参列するか、代表者は誰かを決める

弔電や供花を急いで手配したいときは、当日配達に対応した電報サービスを知っておくと安心です。【VERY CARD】なら弔電と供花をまとめて当日手配でき、文例から選ぶだけで送れます(もし必要になったときの参考までに)。

取引先など社外の訃報への対応は、別の記事にまとめています。

取引先の訃報連絡への対応はどうする?現役総務が返信メールもあわせて解説!
取引先から訃報が届いたとき、会社としてどう連絡・対応すればいい?返信メールの例文、香典・供花・弔電を出す判断基準、参列のマナーまで、現役総務が実例ベースで解説します。

死亡退職でやることチェックリスト

最後に、全体を早見表でまとめます。

やること期限の目安
事実確認・遺族窓口の確認・社内周知すぐ
香典・弔電・供花の手配(辞退の確認)通夜・葬儀前
健康保険・厚生年金の資格喪失届・保険証回収5日以内
雇用保険の資格喪失届10日以内
最終給与の精算(相続人へ)・年末調整・源泉徴収票落ち着いてから
退職金(中退共は機構への案内)の手続き落ち着いてから
埋葬料・遺族年金などご遺族の手続きを案内あわせて

まとめ

従業員の死亡退職は、心の動揺と手続きの正確さの両方が求められる、総務にとって本当に難しい場面です。

  • まず期限のある社会保険(5日以内)から動く
  • 給与・退職金は相続人へ。税金の扱いは通常退職と違うので税理士・税務署に確認
  • 中退共の会社は、退職金は機構からご遺族へ直接。総務は請求のサポート役
  • 埋葬料や遺族年金など、ご遺族の手続きも案内してあげると親切

社会保険・税金の細かい部分は、年金事務所・税務署・中退共などの窓口で確認しながら進めるのが安全です。

総務の仕事のなかでも、死亡退職の対応はいちばん気が重く、そしていちばん心を込めたい場面だと、個人的には思っています。手続きを正確にこなすことが、残されたご遺族への何よりの配慮になる。そう考えると、一つひとつの届出にも気持ちがこもります。

この記事が、いざというときに落ち着いて動くための地図になればうれしいです。

この記事を書いた人

大阪在住・2児の母。中小企業(従業員120名)で総務人事歴7年目のワーキングマザー。第一種衛生管理者。給与計算・入退社手続き・就業規則改定・採用・社内DXまでほぼ一人で担当。同じ立場の方に役立つリアルな情報を発信中。

総務人事ワーママをフォローする
総務・人事の実務
シェアする
総務人事ワーママをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました