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1月に給与支払報告書を作っていたら、社員の住所が去年と違っていることに気づきました。通勤手当はずっと前の金額のままです…。引っ越したなら言ってほしいんですが、そもそも言ってもらえる仕組みになっていないのかもしれません。
年明けの給与支払報告書を作っているときに、社員の住所欄を見て手が止まったことがあります。
去年の住所と違っているのに、通勤手当の金額だけが何も変わっていませんでした。
引っ越しの話は、総務のところに一度も上がってきていなかったのです。
こういう変更もれは、金額の計算をまちがえて起きるものではありません。
変わったという事実が総務や人事まで届かないから起きます。
この記事では、通勤の距離をどうやって確かめるかと、変更の申請が出てこないまま流れてしまうのをどう食い止めるかを、私の会社でやっている形のままでまとめました!
ひとつだけ、先にお断りしておきたいことがあります。
通勤手当をどんな条件でいくら支給するかは、法律で一律に決まっているものではありません。
就業規則や賃金規程の書き方しだいで、片道の距離の区分で決めている会社もあれば、毎月同じ額を出している会社、実際にかかった費用や電車の定期代を基準にしている会社もあります。
距離で決まっているのは、あくまで税金がかからない上限のほう(非課税限度額)です。
この記事は、片道の距離の区分で支給額を決めている自分の会社の運用をもとに書いています。
読むときは、まず自社の規程がどの決め方になっているかを見てもらえたらと思います。
- 通勤手当の距離の確認方法を決めきれていない総務人事担当者さん
- 社員が引っ越しても通勤手当の変更申請が出てこなくて困っている方
- 通勤経路の申請書に何を書いてもらえばいいか迷っている方
- 通勤手当の払いまちがいに後から気づいて焦ったことがある方
通勤手当の変更申請はなぜ出てこないのか
対策の前に、なぜ社員からの申請が抜けてしまうのかを分けておきます。
原因が分かると、打ち手が申請書の一行で足りるのか、それとも別の場所を触るべきなのかが見えてきます。
申請を出すかどうかが本人任せになっている
通勤手当が変わる場面の多くは、社員側の事情から始まります。
引っ越し、通勤方法の切り替え、家族の車を使うようになった、といったところです。
社会保険の手続き、年末調整の書類、住所変更の届出、緊急連絡先の確認、駐車場の利用申請、社宅や住宅手当のやりとり。
会社が引っ越しを知るきっかけ自体は、いくつもあります。
ただ、そこで住所を知ったことが通勤手当の変更まで自動でつながるとは限りません。
だからこそ、住所変更などをきっかけにして通勤経路の変更を確かめにいく仕組みが要ります。
ところが引っ越しの当事者は、物件探しと荷造りと役所まわりで頭がいっぱいです。
そのなかで会社の書類の優先順位が下がるのは、責めてもしかたがないところだと思っています。
しかも本人からすると、住所を伝えた時点で会社の中は全部つながっている感覚です。
通勤手当が別の申請だとは思っていないので、悪気なく止まります。
もうひとつ多いのが、そもそも申請がいらないと思い込んでいるパターンです。
同じ市内での引っ越しだから、住所が少し変わるだけだから、という感覚です。
距離の区分で支給額を決めている会社では、同じ市内の引っ越しでも区分をまたぐと支給額が変わることがあります。
逆に言うと、引っ越しや通勤経路の変更があっても、必ず通勤手当の額が変わるとは限りません。
同じ区分の中での移動だったり、支給の上限に達していたり、そもそも距離で額を決めていない場合は、金額が動かないこともあります。
変わるかどうかは申請を見てから分かることなので、まずは出してもらう、という順番になります。
同じ市内での引っ越しだったので申請はいらないと思っていました、と言われたことがあります。悪気はまったくないので、こちらが先に伝えておくしかないなと思いました。
総務は引っ越したこと自体を知らない
ここが、この問題のいちばん厄介なところです。
金額のまちがいなら、給与計算のチェックで拾える可能性があります。
けれど申請が来ないケースは、給与のデータのなかに手がかりが出てきません。
毎月の給与データを何度見返しても、去年と同じ数字が並んでいるだけです。
つまり、給与のデータだけを見るチェックリストをいくら増やしても、申請そのものが届いていないケースは見つかりません。
見つけたいなら、突き合わせる先のほうを変える必要があります。
住所変更の受付記録、人事の情報、駐車場の台帳といった、給与の外にあるデータです。
このあとに書く住所変更とセットにする運用や、年1回の棚卸しは、どちらもここにつながる話です。
私はこれを「見えない抜け」と呼んでいます。自分の確認が甘かったわけではないのに結果だけ間違っている、という状態なので、気をつけようという反省ではどうにもならないんですよね。
気づくのが給与支払報告書のタイミングになりやすい
では、抜けたものはどこで表に出てくるのか。
私の場合は、年明けの住民税まわりの作業で見つかることが多いです。
個人住民税は、その年の1月1日に住んでいる市町村が課税するしくみになっています。
そこで会社は、前年中に給与を支払った社員について給与支払報告書を作り、その年の1月1日現在の住所地の市町村へ、原則として1月31日までに提出することになっています。
前年中に支払った(支払いの確定した)給与について、給与支払額の多少にかかわらず、すべての従業員等(短期雇用者、アルバイト・パート、役員等を含む)の給与支払報告書(総括表および個人別明細書)を作成し、従業員等の1月1日現在(退職の場合は退職日現在)における住所地の市町村長に提出することが法令により義務付けられています(地方税法第317条の6)
期限の日が土日や休日にあたる年は、翌開庁日までうしろにずれます。
この作業では社員の住所を一人ずつ見ていくので、去年と違っている人がいれば目に入ります。
ただ、必ず気づけるとは限りません。
住所変更の届出そのものが出ていなければ、給与システムに登録されている住所も古いままだからです。
その場合は書類を作っても去年と同じ住所が並ぶので、何も引っかからずに終わります。
それでも、給与支払報告書の作成や年末調整の準備をきっかけに、住所の変更に気づくことはあります。
気づけたのはありがたいのですが、時期がよくありません。
秋に引っ越していたなら、まちがった金額で何か月も払い続けていたことになります。
しかも1月は年末調整の後始末と重なる時期なので、そこから調べ直すのは正直しんどいです。
だからこの記事では、発覚を早める話ではなく、引っ越した時点で拾いにいく話を書いていきます。
通勤手当の距離の確認方法はGoogleマップのルートを添えてもらう
まず、距離そのものをどう確かめるかです。
ここが固まっていないと、あとの運用をいくら整えても数字の根拠が宙に浮きます。
数字だけの自己申告では総務が裏づけを取れない
通勤経路の申請書に「片道12km」とだけ書かれて戻ってきたとします。
この12kmが本当かどうかを、総務の側で確かめる材料はどこにもありません。
社員が嘘をついていると疑っているわけではないです。
ただ、どこで折り返してどの道を通ったつもりの12kmなのかが分からないと、後から説明のしようがないのです。
私の会社の通勤手当は、片道の距離を区分で切って、同じ区分に入る人には同じ額を支給する決め方をしています。
片道3km未満なら3,000円、片道5km未満なら4,000円、といったイメージです(この金額は説明のための一例です)。
この決め方だと、区分の境目にいる人の申告がひとつずれるだけで支給額が変わります。
本人に悪気がなくても、境目のあたりは自然と多めの数字で上がってきがちです。
ルート検索の画面を距離ごと添付してもらう
そこで私の会社がやっているのが、地図の画面をそのまま出してもらう方法です。
自宅から勤務先までをGoogleマップで検索してもらって、距離が出ている状態の画面を申請書に添えてもらいます。
印刷でもスクリーンショットでも、どちらでも構いません。
申請書の距離欄には、会社が決めた条件で検索したルートの距離を書いてもらいます。
Googleマップの検索結果そのものが会社の基準というわけではありません。
あくまで、その距離と経路を後から確かめるための資料の一例、という位置づけです。
たったこれだけで、総務の手元に距離と経路がセットで残ります。
社員の側の手間も、検索して画面を保存するだけなので数分で終わります。
ひとつだけ添えておきたいことがあります。
このやり方は、国税庁がこの方法で測りなさいと定めているものではありません。
会社が距離を確かめるための手段のひとつ、という位置づけです。
大事なのは、社員によって測り方がばらばらにならないことと、その根拠が後から見られる形で残っていることだと思っています。
複数のルートが出たときにどれを採るか先に決めておく
実際にやってみると、すぐにぶつかるのがここです。
ルート検索をかけると、候補がいくつも並んで出てきます。
距離が短い代わりに時間がかかるものもあれば、遠回りでも早く着くものもあります。
社員がどれを選ぶかを決めていないと、同じ場所に住んでいる二人で違う距離が上がってきます。
この状態がいちばん困るので、選び方だけは社内で先に決めておきます。
①候補のうち先頭に出てくるルートを使う
②距離がいちばん短いルートを使う
③有料道路を使わない設定にしたうえで先頭のルートを使う
④普段どおりに通っている道と違う場合は、その道を選んだ理由を備考に書いてもらう
どれが正解ということはないと思います。
大事なのは、会社として1つに決めて、全員に同じ基準を使うことのほうです。
社員ごとに基準が変わると、同じ場所から通っている人のあいだで支給額に差が出てしまいます。
全員を同じルールに揃えておけば、社員から「あの人と条件が違う」と言われたときにも説明ができます。
実際の通り道が候補と違う人もいるので、④の逃げ道を用意しておくと運用が硬くなりすぎません。
もうひとつ、決めるときに見ておきたいことがあります。
会社が支給額を決めるときの基準と、税務上の非課税限度額を判定するときの基準は、同じとは限りません。
ルールを固めるときは、自社の規程の定めと税務の取り扱いの両方を確かめておくと安心です。
確認したことの根拠を申請書と一緒に残す
添えてもらった画面は、申請書と一緒に保管します。
紙で受けているなら申請書のうしろにホチキス、データで受けているなら同じフォルダに入れるだけです。
これが効いてくるのは、だいぶ先になってからです。
数年後に「この人の距離はどうやって出したのか」と聞かれる場面が、いつか来ます。
担当が自分から代わっていることもあります。
そのときに画面が一枚あるだけで、当時の判断をたどり直せます。
なお、この距離が最終的にどの金額と突き合わせられるのかについては、税務の側の決まりがあります。
片道距離ごとの非課税限度額の一覧と、2026年に変わった点はこちらにまとめているので、金額の確認をしたいときはこちらをどうぞ。

通勤経路の地図や住所は個人情報として扱いを決めておく
集めた情報の扱いについても、ひとこと書いておきます。
地図のルート検索の画面には、自宅の細かい位置や、その周辺にある施設まで写り込みます。
家族がふだん動いている範囲まで読み取れてしまうこともあるので、ほかの申請書よりも気をつかう書類だと思っています。
私の会社では、次のところを決めるようにしました。
①集めた住所や地図の情報は、通勤手当の認定、給与計算、税務の処理といった必要な目的の範囲で使う
②見られる担当者を決めて、保存する場所も決めておく
③保存する期間と、退職した人の分をどう扱うかを決めておく
④必要がなくなったものは、決めたやり方で削除する
⑤地図の画面に家族の氏名や関係のない位置の情報が写り込んでいないか、提出の前に見てもらう
③については、私の会社では退職した人の関連書類を退職者専用のファイルに移すようにしています。
私の会社では、退職した人の関連書類は退職者専用のファイルに移しています。在籍中の書類と混ざったままにしないだけでも、どこに何があるかがはっきりします。
決めておくと、社員から「この地図はどこまで見られるんですか」と聞かれたときに、その場で答えられます。
聞かれてから考えると、どうしても歯切れの悪い返事になってしまいます。
入社のときの通勤経路の申請はここまでやっておく
ここからは時間の順に見ていきます。
最初のポイントは、入社のときです。
入社書類の一式に最初から入れておく
通勤経路の申請書は、入社手続きの封筒に最初から同封しておきます。
後から単体でお願いすると、それだけで一往復増えます。
入社時は扶養の書類もマイナンバーも一緒に集めるので、そこに紛れ込ませたほうが回収率が上がります。
このとき、地図の画面を添えてもらう旨も案内文に書いておきます。
書いていないと、まず添えてもらえません。
入社手続きで集めるものの全体像は、こちらの記事にまとめています。

初回だけは提出後に総務側でも検索してみる
受け取った申請書は、その場で軽く見ておきます。
添えられた画面の距離と、申請書に書かれた数字が合っているかどうかの確認です。
意外とここがずれています。
小数点を四捨五入した人と切り上げた人が混ざるので、そこも社内で揃えておくと後がラクです。
区分の境目ぎりぎりの人だけは、総務の側でも一度検索してみます。
全員分をやり直す必要はなくて、境目の人だけで十分だと思います。
入社のときにここまでやっておくと、その人については以降ずっとラクになります。逆にここを飛ばすと、何年も根拠のない数字を払い続けることになるので、最初の一回に手をかける価値はあると感じています。
申請が出てこないのを防ぐには住所変更とセットにする
次が、この記事の本題にあたるところです。
入社のあとに距離が変わる場面をどう拾うか、です。
通勤手当の申請だけを単独でお願いしない
いちばん効いた対策は、拍子抜けするほど地味です。
社員が引っ越したときは、住所を変える手続きを必ず総務に依頼してきます。
健康保険証や住民税の関係があるので、ここだけは本人も止まりません。
そこで私の会社では、住所変更の依頼を受けた時点で通勤経路の提出もその場でお願いする形にしました。
別々の申請だったものを、ひとつの依頼の中に畳み込んだだけです。
覚えていてもらう相手を社員から手続きそのものに移した、と言い換えてもいいかもしれません。
やることは3つだけです。
①住所変更の届出用紙に「通勤経路の申請書も一緒に出してください」の一文を入れる
②住所変更の相談を受けたら、その返信で通勤経路の申請書と地図の話をセットで案内する
③住所変更の処理が終わっても、通勤経路が届くまでは完了にしない
③がいちばん大事だと思っています。
住所を直した時点で気持ちが終わってしまうと、結局そこで止まるからです。
通勤方法が変わったときも同じ扱いにする
距離が変わるのは、引っ越しのときだけではありません。
車で通っていた人が電車に切り替えることもあれば、その逆もあります。
子どもの送り迎えが始まった、家族が車を使うようになった、といった生活側の事情が理由になることが多いです。
この切り替えは住所が動かないので、住所変更の網では拾えません。
拾えるとしたら、駐車場の使用申請や社員同士の雑談のあたりです。
私の会社は車で通ってくる社員が多くて、駐車は会社の敷地でしてもらっています。
停める場所を管理している分、通い方が変わったことには比較的気づきやすい環境だと思います。
敷地の駐車スペースを台帳で管理している会社なら、その台帳と通勤手当の一覧を並べてみるのもひとつの手です。
事業所の移転や配置換えは会社側から動く
逆に、会社の都合で距離が変わることもあります。
事業所が移転したときや、勤務先が変わる配置換えがあったときです。
これは社員に申請してもらうものではなくて、総務の側から声をかける場面です。
対象になる人が一度に何人も出るので、まとめて出し直してもらったほうが早く終わります。
移転の話が出た段階で、通勤経路の出し直しを段取りに組み込んでおくと慌てずに済みます。
いつの給与から変えるかは規程の定めを見る
申請が届いたら、次に決めるのが反映する時期です。
引っ越した月から変えるのか、翌月から変えるのか、という話です。
ここは法律で一律に決まっているものではないので、まず就業規則や賃金規程を確認するところからです。
自社の規程に書いてあれば、そのとおりに動かします。
定めがない場合は、実際に変わった日、届出のあった日、これまでどう扱ってきたか、本人にどこまで説明していたかを確かめたうえで、個別に判断することになります。
そして、今後のために規程や社内の運用のほうを整えて、社員に周知しておきます。
人によって判断がぶれるのがいちばんまずいので、迷ったら顧問の社労士に相談して決め方ごと固めてしまうのが安全だと思います。
うちの規程を見に行ったら、通勤手当をいつから変えるかは何も書いていませんでした…。これまで何となく翌月からにしていたので、まずそこを決めるところからですね。
そのまま使える通勤経路申請書の項目とお知らせ文例
ここからは、そのままコピーして使える形にしておきます。
いま使っている書式に足すだけで済むように、項目と文例に分けました。
①通勤経路申請書に入れる項目のひな形
申請書に並べる項目です。
これ以上増やすと書くほうが嫌になるので、この程度で止めています。
【通勤経路申請書】
・所属/氏名/社員番号
・申請の区分(新規/変更)
・変更の場合はその理由(引っ越し/通勤方法の変更/勤務先の変更/その他)
・変更があった日
・通勤の起点になる住所(住民票の住所と違う場合はその旨も)
・勤務する場所
・通勤の手段(自家用車/バイク/自転車/電車・バス/徒歩/併用)
・併用の場合の乗り換え地点(駅名など)
・片道の距離(会社が決めた条件で検索したルートの距離を記入)
・添付(地図のルート検索結果 / 定期代の分かる画面)
・備考(候補と違う道を通っている場合はその理由)
・確認欄(上長/総務受付日/反映する給与月)
地味に効くのが「変更があった日」の欄です。
提出が遅れた人の分を、いつから直すかを判断する材料になります。
「通勤の起点になる住所」も入れておきたいところです。
住民票を移していないまま実際は別の場所から通っている人が、ときどきいるからです。
ただ、この欄は扱いに気をつけたいところでもあります。
住民票上の住所と実際に住んでいる場所が違うときにどちらを使うかは、会社の規程で定めておくのが基本です。
そのうえで、この欄は通勤手当を決めるために必要な範囲で書いてもらうものです。
住民票の写しや本人確認の書類まで出してもらうことを求めるものではありません。
いちばん下の確認欄は、総務が自分のために作る欄です。
受け付けた日と、どの月の給与に入れたかを書いておくと、反映したかどうかの記憶に頼らずに済みます。
②社員向けの周知文例
次に、全員あてに一度流しておく文章です。
年度替わりや、通勤経路の一斉確認をするタイミングで出すと収まりがいいです。
件名:通勤経路の届出についてのお願い
社員のみなさま
おつかれさまです。総務の○○です。
通勤手当は、届け出ていただいた通勤経路と片道の距離をもとに計算しています。
そのため、下記にあてはまる変更があったときは、通勤経路申請書のご提出をお願いします。
・引っ越しをしたとき(引っ越しの予定が決まった時点でご一報ください)
・通勤の手段を変えたとき(車から電車へ、電車から車へ など)
・通勤の経路を変えたとき
・勤務する場所が変わったとき
申請書には、自宅から勤務先までの地図のルート検索結果を添えてください。
距離が表示された画面を、印刷またはスクリーンショットでご提出ください。
届出が遅れると、通勤手当の金額を後からさかのぼって調整させていただくことがあります。
お手数ですが、変更があった時点でのご提出にご協力をお願いします。
ご不明な点は総務までお気軽にお問い合わせください。
この文章のねらいは、自社の通勤手当が何をもとに決まっているのかを知ってもらうところにあります。
そこが伝わっていない社員は、思っているよりずっと多いです。
距離の区分で支給額を決めている会社なら、この文例のように「届け出た通勤経路と片道の距離をもとに計算している」と書くことになります。
定額で支給している会社や定期代を基準にしている会社は、自社の規程の書き方に合わせて直してください。
「引っ越したら金額が変わることがある」とだけでも頭に残れば、申請が上がってくる確率が上がります。
後からさかのぼる可能性にも触れていますが、脅す書き方にはしていません。
強い言葉で書くと、逆に申請が出にくくなると感じています。
③引っ越した人へのリマインド文例
最後は、住所変更の連絡だけが来た人への返信です。
この一通を返すだけで、変更もれはかなり減ります。
件名:Re:住所変更のお届けについて
○○さん
おつかれさまです。総務の○○です。
住所変更のご連絡をありがとうございます。こちらで手続きを進めます。
あわせて、通勤経路の申請書のご提出をお願いします。
通勤手当は新しいご自宅からの片道の距離で計算し直すため、住所変更とは別の書類になります。
【ご提出いただくもの】
・通勤経路申請書(添付しています)
・新しいご自宅から勤務先までのルート検索結果(距離が表示された画面)
【ご提出の期限】
・○月○日(○)まで
通勤の手段が変わる場合は、その旨も申請書にご記入ください。
お引っ越しでお忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いします。
ポイントは、住所変更とは別の書類だとはっきり書いておくところです。
ここを書いておかないと、住所を伝えたから終わったと受け取られます。
提出の期限を日付で入れておくのも大事です。
期限がない依頼は、忙しい時期ほど後回しになります。
申請書のファイルをこのメールに添付しておくと、探す手間もなくなります。
通勤手当の変更もれに気づいたときはどうする
ここからは、すでに起きてしまったときの話です。
ここは、こうすれば正解という決まった形がありません。
会社の規程と個別の事情で扱いが変わるので、考える順番だけ並べておきます。
まず変更があった日と支給の履歴を並べる
最初にやるのは、事実の整理です。
いつ距離が変わったのか、その月から今月までいくら払ってきたのか、本来ならいくらだったのかを並べます。
差額の合計が出たところで、ようやく判断の話に入れます。
この作業を飛ばして先に社員へ声をかけると、話が二転三転してこじれます。
多く払っていた場合
近いところに引っ越していたのに、前の金額のまま払っていたケースです。
過去の分を返してもらうかどうかは、就業規則や賃金規程にどう書いてあるかで変わります。
「届出が遅れた場合はさかのぼって精算する」といった定めがあるなら、それが出発点になります。
定めがない場合は、会社としてどうするかを決めるところからです。
そのうえで、回収の方法にはもっと注意が要ります。
先に書いておくと、過払い分を翌月以降の給与から会社が一方的に控除できるとは限りません。
賃金は全額を支払わなければならない、という労働基準法の決まりが関わってくるからです。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
払いすぎた分を後の給与で調整する形(調整的相殺と呼ばれます)についても、時期や金額、やり方の面で本人の生活を脅かさない範囲であることなどが求められるとされています。
差し引きができるかどうかは、労使協定の有無や控除の中身によっても判断が分かれます。
ですので原則としては、本人に事情を説明して、返してもらう方法を協議したうえで進めることになります。
私の会社でも、本人と相談したうえで賞与のときに差額を引かせてもらったことがあります。
黙って引くのではなく、先に事情を説明して相談する。この順番がやっぱり大事だなと思いました。
判断の材料になるのは、このあたりです。
①過払いが起きた原因(会社側の処理もれか、本人の届出遅れか)
②過払いになっていた期間
③過払いの金額
④就業規則や賃金規程にどう書かれているか
⑤給与から控除することについての労使協定があるか
⑥本人にどこまで説明していたか
ここは総務が単独で決めていい場所ではないと思っています。
相談先は、内容によって分かれます。
給与から差し引いてよいかどうかといった労働関係の話は、社会保険労務士や弁護士に確認するのが確実です。
源泉所得税や年末調整をどう直すかは、税理士か所轄の税務署が窓口になります。
私の会社にも顧問の社労士がいるので、この手の判断が要る場面では先に相談を投げるようにしています。
少なく払っていた場合
遠くに引っ越していたのに、前の金額のままだったケースです。
申請は届いていたのに会社の処理がもれていた場合は、差額の支給が必要になる可能性があります。
一方、本人の届出が遅れていた場合は、規程の定め、実際に変わった日、届出のあった日、これまでの会社側の運用などを確かめて、どこからを支給の対象にするかを判断することになります。
ここも一律にこうと言えるところではないので、迷ったら社会保険労務士に確認してから決めています。
そして、追加で払った金額の税金の扱いにも気をつけたいところです。
通勤手当には所得税がかからない範囲が距離ごとに決まっていて、そこを超えた分は給与として扱われます。
まとめて追加支給すると、その月だけ枠を超える形になることもあります。
金額の線引きと処理のしかたは親記事のほうに一覧でまとめているので、あわせてご覧ください。

いつの分の通勤手当として扱うか、源泉徴収をどう直すかといった細かい判断も出てきます。
金額が大きくなりそうなときは、税理士か所轄の税務署に確認してから処理してください。
社員への伝え方は事実だけを先に置く
方針が決まったら、本人に説明する場面が来ます。
ここで責める空気を出すと、次から誰も申請を出してくれなくなります。
いつからいくらずれていたのかという事実を先に置いて、会社としての扱いを伝える、という順番にしています。
社長や上司に報告するときも同じで、犯人探しの話にしないほうが次の対策に進めます。
通勤手当の変更もれを仕組みで防ぐ
最後に、気をつける以外の防ぎ方を2つ書いておきます。
どちらも新しい仕事を増やさない方法にしています。
年1回の棚卸しを別の行事にくっつける
申請が出てこない人を拾う網として、年に一度の一斉確認があります。
全員に「登録されている通勤経路に変更はないか」を聞くだけの、単純なものです。
ただ、これを単独の行事として立ち上げると、まず続きません。
総務の仕事はそれでなくても行事だらけなので、単独で増やすと翌年には消えています。
なので、すでにある一斉配布のタイミングに乗せます。
①健康診断の案内を配るとき
②年末調整の書類を配るとき
③新年度の書類を配るとき
④緊急連絡先の確認をするとき
どれも全員に配る場面なので、一行足すだけで済みます。
私が使いやすいと感じているのは、年末調整の書類を配るときです。
この書類はどのみち全員が住所を書く場面なので、社員の意識もそちらを向いています。
年末調整の段取りは、こちらの記事にまとめています。

変更がない人には何も返させない形にしておくと、回収の負担が一気に軽くなります。
「変わった人だけ申請書を出してください」で十分だと思います。
紙をやめて申請の履歴を残す
もうひとつが、申請そのものの受け方を変えることです。
正直に書きますが、私は紙で申請を受けていた頃に、受け取った変更を給与へ反映しないまま流してしまったことがあります。
紙は、受け取ってから給与計算に取りかかるまでのあいだに一度こちらの手を離れます。
その間に机の上で別の書類に埋もれると、思い出すきっかけがなくなります。
私の会社はその後SmartHRを入れて、申請の受け方を紙から切り替えました。
申請の状況や処理の履歴を画面で確認できるようになりました。
私の会社では、紙の申請を受け取ったあとに処理が止まってしまうケースはなくなりました。
ただし、システムを入れても社員が申請を出さないパターンは残ります。
そこはやはり、住所変更とセットにする運用のほうで拾うことになります。
導入のときにつまずいた話は、こちらに書いています。
中小の総務人事の私が実感した3つの効果と注意点-160x90.jpg)
システムを入れれば全部解決すると思っていたのですが、実際は「出してもらう」ところの工夫のほうが効きました。順番としては、住所変更とセットにする運用を先に固めるほうが早いと思います。
通勤手当の距離や申請でよくある質問
Q. 通勤経路は自己申告のままでも問題ない?
申告してもらうこと自体は、どの会社もやっていることです。
問題になりやすいのは、申告された数字を会社が何も確かめていない状態のほうだと思います。
距離によって支給額が変わる仕組みにしているなら、その距離の根拠が手元にないのは落ち着かないところです。
地図の画面を一枚添えてもらうだけで、そこは埋まります。
Q. 申告された距離と検索結果がずれていたら?
まず、どちらが正しいかを決めつけずに本人に聞きます。
実際に通っている道が検索の候補と違っている、というだけのこともよくあります。
渋滞する交差点を避けている、細い道が苦手で大きい通りを使っている、といった理由です。
会社としてどのルートの距離を採用するかを決めておけば、この会話はすぐ終わります。
決めていないと、毎回その人ごとに判断することになって疲れます。
Q. 申請が遅れて出てきたらいつから直す?
実際に距離が変わった日にさかのぼるのか、申請を受け付けた月から直すのか、という話になります。
これも就業規則や賃金規程の定めが先で、書いてあればそのとおりに動かします。
定めがない場合は、実際に変わった日、届出のあった日、これまでの運用、本人への説明の状況を見ながら、個別に判断することになります。
そのうえで扱いを決めて、規程や社内の運用に落として周知しておくと、次から悩まなくて済みます。
Q. 引っ越しを届け出ない社員に罰則をつけていい?
気持ちとしては分かるのですが、私はおすすめしません。
罰則を設けるには就業規則の定めが必要で、どこまで設定できるかは法律の制約も受けます。
入れたいと考えるなら、顧問の社労士に相談したうえで規程を整えることになります。
ただ、そこに手をかけるくらいなら、住所変更の依頼に一行足すほうが早く効くと思います。
出してこない社員の大半は、悪意ではなく忘れているだけだからです。
まとめ
通勤手当の距離の確認と、変更もれを防ぐ方法についてまとめます。
①通勤手当の支給条件や計算方法は会社の就業規則・賃金規程による。この記事は距離の区分で支給額を決めている会社の運用例
②通勤手当の変更もれは計算ミスではなく情報が総務に届かないことで起きる
③距離の確認方法は、申請書にルート検索の結果を距離ごと添えてもらうのが手軽(会社が確かめるための資料の一例)
④候補が複数出るので、採用するルートの基準は会社として1つに決めて全員に同じものを使う
⑤確認した根拠は申請書と一緒に保管して、後から距離の出し方をたどれるようにする
⑥地図や住所は個人情報なので、使う目的・見られる担当者・保存期間・削除の方法まで決めておく
⑦通勤経路の申請書は入社書類の一式に最初から同封し、境目の人だけ総務でも検索して確かめる
⑧引っ越しは住所変更の依頼と通勤経路の提出をセットにする。単独の申請にすると出てこない
⑨通勤方法の変更や事業所の移転は住所が動かないので、別のきっかけで拾う
⑩いつの給与から反映するかは就業規則や賃金規程の定めによる。定めがなければ変更日や届出日を見て個別に判断し、あとで規程を整える
⑪払いすぎは一方的に給与から控除できるとは限らない。労働関係は社会保険労務士や弁護士、税金の処理は税理士や税務署に確認してから動く
⑫年1回の棚卸しは年末調整や健康診断の案内に相乗りさせると続く
この記事で書いたことは、どれも新しい制度ではありません。
申請書に欄をひとつ足して、住所変更の案内に一行足すだけです。
それでも、年明けに住所欄を見て青くなる回数はちゃんと減りました。
ただ、規程の解釈や過去分の精算まで踏み込む場面は、総務だけで抱え込まないほうがいいと思っています。
労働関係の判断は社会保険労務士や弁護士、税金の処理は税理士や税務署に確認しながら進めてください。
ぜひ、参考にしてみてください!

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