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※この記事は2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。
今年度の改定額は答申が出しだい更新します。
最新情報は厚生労働省公式サイトをご確認ください。
最低賃金が上がるってニュースで見たんですが、総務人事は具体的に何をすればいいんでしょうか?うちは月給制だから関係ない…ですよね?
私が総務人事になりたての頃、10月の給与計算の直前に顧問の社労士さんから「今月から最低賃金が上がっていますが、パートさんの時給は大丈夫ですか?」と連絡をもらって、慌てて全員分の時給を確認したことがあります。
最低賃金の改定は毎年必ずやってくる「秋の定例イベント」なのに、ニュースで金額だけ見て終わりにしてしまいがちです。
しかも近年は引き上げ幅が大きく、「月給制の正社員だから関係ない」とも言い切れなくなってきました。
この記事では、最低賃金の改定で総務人事がやることを、実際の時間の流れに沿って整理しました。
私と同じように「何から手をつければいいの?」と迷っている方の参考になればうれしいです。
- 最低賃金の改定で総務人事が何をすればいいか知りたい
- 月給制の社員も最低賃金に関係あるのか不安
- パート・アルバイトの時給チェックの方法を知りたい
- 中小企業でひとり(少人数)総務人事をしている
最低賃金改定のスケジュール|毎年いつ決まっていつ上がる?
最低賃金は毎年、だいたい同じ流れで改定されます。
まずは1年のスケジュール感をつかんでおくと、慌てずに済みます。
| 時期 | 何が起こる? |
|---|---|
| 7月下旬 | 国の審議会が「目安額」を発表(全国ニュースになるのはココ) |
| 8月 | 都道府県ごとの審議会で、地域の実情を踏まえて金額を審議 |
| 8月〜9月 | 都道府県ごとに改定額と発効日が正式に決まる |
| 10月頃〜 | 新しい最低賃金が発効(県によっては翌年になることも) |
ここで総務人事として押さえておきたいのが、発効日は都道府県ごとにバラバラという点です。
令和7年度(2025年度)の実際の発効日を見ると、こんなに差があります。
| 発効日 | 都道府県の例(令和7年度) |
|---|---|
| 10月1日 | 栃木(全国でいちばん早い) |
| 10月中 | 東京(10月3日)・大阪(10月16日)など多数 |
| 翌年1月1日 | 福島・徳島・熊本・大分 |
| 翌年3月 | 群馬(3月1日)・秋田(3月31日=全国でいちばん遅い) |
「10月1日から全国一斉」ではないんです。
ニュースになった時期に上がるとは限らないので、自分の県の発効日を必ず確認しましょう。
恥ずかしながら、発効日が県ごとにこんなに違うことは私も最近まで知りませんでした。まずは自分の県の発効日チェックからですね。
参考までに、令和7年度(2025年度)の改定結果はこちらです。
全国加重平均で66円の引き上げと、過去最大級の上げ幅でした。
今年度(令和8年度)も大幅な引き上げが見込まれています。
| 時間額 | 引き上げ額 | 発効日 | |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1,226円 | +63円 | 2025年10月3日 |
| 大阪府 | 1,177円 | +63円 | 2025年10月16日 |
| 全国加重平均 | 1,121円 | +66円 | ― |
自分の県の最新額と発効日は、厚生労働省の一覧ページで確認できます。
最低賃金の基本ルール|月給制の社員も対象になる
最低賃金は、パート・アルバイトだけでなく、月給制の正社員や契約社員も含めた全従業員に適用されます。
雇用形態は関係ありません。
ここを誤解していると、思わぬところで最低賃金割れが起きます。
もうひとつ大事なのが、最低賃金の計算に入れていい賃金と入れてはいけない賃金があること。
次の手当は計算から除外します。
- 通勤手当
- 家族手当
- 精皆勤手当
- 時間外・休日・深夜の割増賃金
- 賞与など臨時に支払われる賃金
つまり「基本給+毎月固定で払われる手当(役職手当・職務手当など)」だけで最低賃金をクリアしている必要があります。
総支給額で見てはいけない、というのが最大の落とし穴です。
ちなみに、最低賃金を下回る賃金で働かせた場合は最低賃金法違反となり、50万円以下の罰金の対象です。
しかも差額はさかのぼって支払う義務があります。
また、都道府県によっては特定の産業だけ地域別より高い「特定最低賃金」が定められていることもあるので、製造業などの会社は労働局のサイトで確認しておくと確実です。
最低賃金の改定で総務人事がやること6つ|時間順に整理
ここからが本題です。
実際の時間の流れに沿って、総務人事がやることを6つに整理しました。
上から順に進めればOKです。
①自分の県の改定額と発効日を確認する(8月〜9月)
8月〜9月に自分の県の改定額と発効日が公示されたら、まず金額と日付をメモ。
先ほどの厚労省の一覧ページか、都道府県労働局のサイトで確認できます。
ニュースで見る「全国平均」や「東京の金額」ではなく、自社の事業所がある県の金額で見るのがポイントです。
支店や営業所が複数の県にある会社は、それぞれの県の金額が適用されます。
②全従業員の時給換算をチェックする(発効日まで)
時給制のパート・アルバイトは、時給と新しい最低賃金を見比べるだけなので簡単です。
問題は月給制の人。
次の式で時給に換算して比べます。
月給(対象の賃金のみ)÷ 月平均所定労働時間 = 時給換算額
月平均所定労働時間は「(365日 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月」で計算します。
たとえば年間休日115日・1日8時間の会社なら、(365 − 115)× 8 ÷ 12 ≒ 166.7時間です。
具体例で見てみます。
月給20万円の社員でも、内訳が「基本給17万円+通勤手当1万円+家族手当2万円」なら、計算に入れられるのは17万円だけ。
170,000円 ÷ 166.7時間 ≒ 1,020円です。
大阪府(1,177円)や東京都(1,226円)では、月給20万円でも最低賃金割れになってしまいます。
うちの会社でも、手当を除いて計算し直したら若手社員がギリギリで冷や汗をかいたことがあります。顧問社労士さんがいる会社なら、換算チェックの結果を共有してダブルチェックしてもらうと確実です。
③最低賃金を下回る人の賃金を改定する(発効日まで)
チェックの結果、下回る(またはギリギリの)人がいたら、発効日までに賃金の改定が必要です。
やることは次の4つ。
①社長・上司に報告して昇給額を決めてもらう
(最低賃金ちょうどではなく数十円の余裕を持たせると、翌年また慌てずに済みます)
②本人に説明して、労働条件通知書や雇用契約書を新しい賃金で作り直す
③給与計算ソフトの単価マスタを発効日に合わせて変更する
④賃金規程に最低賃金と連動する記載があれば見直す
発効日が給与の締め期間の途中に来る場合は、その月だけ「発効日前は旧時給・発効日以降は新時給」で日割り計算するか、締め期間の初日から新時給に前倒しするかを決めておきましょう。
前倒しのほうが計算はラクで、従業員にも不利になりません。
私の会社では、毎年10月1日付で契約書を作り直して新しい最低賃金に更新しています。発効日を待たずにキリのいい日でそろえておくと、毎年のルーティンにできてラクですよ。
④求人票やパート募集の時給を見直す(発効日まで)
意外と忘れがちなのが求人まわりです。
ハローワークの求人票や求人サイトに載せている時給が新しい最低賃金を下回っていると、求人が受理されなかったり修正を求められたりします。
発効日をまたいで掲載し続ける求人は、先回りして直しておきましょう。
在籍している人のことばかり考えてました…。求人票までは頭が回ってなかったです。
私の場合、スーパーの求人票の張り紙でも、最低賃金がちゃんと更新されているかチェックするようになってしまいました(笑)もう、職業病ですねw
⑤社会保険の随時改定を確認する(賃金改定後3ヶ月)
時給や基本給を上げると「固定的賃金の変動」にあたるため、改定した月から3ヶ月の平均で標準報酬月額が2等級以上変わると、社会保険の随時改定(月額変更届)が必要になります。
賃金を改定した人のリストを作っておいて、3ヶ月後に忘れず確認しましょう。
顧問社労士さんがいる会社は、賃金改定の時点で「この人たちの月変チェックをお願いします」と共有しておくとスムーズです。
社会保険の手続きの流れは、入社手続きの記事でも詳しくまとめています。

⑥改定後の最低賃金を社内に周知する(発効日以降)
実は、最低賃金の概要を従業員に周知することは法律で決められた使用者の義務です(最低賃金法第8条)。
対象は賃金を上げた人だけではなく、その職場で働く従業員全員です。
といっても難しいことはなく、労働局が配布している最低賃金の周知ポスターやリーフレットを休憩室や掲示板に貼っておけばOK。
毎年新しい金額のものに貼り替えるだけの、頑張らなくていい仕事です。
私の会社では掲示に加えて、時給が変わる人には改定した契約書を手渡しするときに「最低賃金が上がったので時給が変わりますよ」と直接伝えています。全員には掲示で、対象者には個別に、の二本立てです。
最低賃金の引き上げで使える業務改善助成金
「最低賃金が上がるたびに人件費が…」と社長が渋い顔をしている会社は、業務改善助成金という制度があります。
事業場内でいちばん低い賃金を50円以上引き上げて、あわせて生産性を上げる設備投資(機械の導入やシステム化など)をすると、費用の最大4/5(上限600万円)が助成されるという、中小企業のための制度です。
2026年度は申請受付が9月1日開始で、締切は「地域別最低賃金の発効日の前日」または「11月末」の早いほう。
引き上げコースは50円・70円・90円の3コースに再編されています。
つまり最低賃金の改定を待ってから動くのでは間に合わない可能性が高いので、使いたい場合は夏のうちから社長と話しておくのがおすすめです。
詳しくは 業務改善助成金(厚生労働省) で確認できます。
賃金や労働時間まわりでは、2026年は労基法改正の対応も重なります。
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まとめ
最低賃金の改定で総務人事がやることを、時間順にもう一度まとめます。
①自分の県の改定額と発効日を確認する(8月〜9月)
②全従業員の時給換算をチェックする(発効日まで)
③下回る人の賃金を改定する(発効日まで)
④求人票やパート募集の時給を見直す(発効日まで)
⑤社会保険の随時改定を確認する(賃金改定後3ヶ月)
⑥改定後の最低賃金を社内に周知する(発効日以降)
毎年やってくる定例イベントなので、一度この流れをメモしておけば来年からはぐっとラクになります。
私も最初の年は社労士さんに教えてもらいながらバタバタでしたが、2年目からは「8月になったら最低賃金」と体が覚えました。
ちなみに、時給チェックや契約書の作り直しまで手が回らない…という場合は、労務業務の一部をオンラインで外注するという選択肢もあります。
ひとり総務人事の「繁忙期だけ誰かに頼りたい」に合うサービスです。
最低賃金の改定は「知らなかった」では済まされない一方で、やること自体はこの6つだけ。
この記事が、同じようにひとりで総務人事を回している方の秋のバタバタを少しでも減らせたらうれしいです。


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